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【看護師のキャリア】データで見る「辞めない職場」の選び方。離職率の真実と自分に合う働き方とは?

「看護師は大変そう」「離職率が高いって聞くけど本当?」 これから看護の道を志す方や、就職活動を控えている皆さんにとって、現場のリアルな実情は気になるところですよね。

実は最新のデータを見ると、新卒看護師の離職率は改善傾向にあります。しかし、その一方で「辞める理由」の中身には、これまでとは違う変化も起きています。

この記事では、日本看護協会の最新調査データ(2024年)などを基に、数字の裏側にある「現場の真実」を分かりやすく解説します。やみくもに不安になるのではなく、データを「地図」にして、あなたらしく輝ける職場を見つけるためのヒントにしてください。


目次

1. 看護師の離職率、実は「新卒」の方が辞めない?データの意外な真実

まずは、看護業界全体の「離職率(仕事を辞める人の割合)」を見てみましょう。ここには意外な事実が隠されています。

新卒の離職率は8.8%まで改善

2023年度のデータによると、正規雇用で働く看護師全体の離職率は11.3%でした。約10人に1人が1年間に職場を変えている計算になります。

しかし、これを「新卒(働き始めて1年目の人)」と「既卒(転職組など)」に分けてみると、大きな差があることがわかります。

  • 新卒採用者の離職率:8.8%(前年から改善し、コロナ禍前の水準へ)
  • 既卒採用者の離職率:16.1%

実は、新卒看護師の離職率はここ数年で下がり続けており、既卒者の約半分という低さになっています。これは、多くの病院が新人教育やサポート体制に力を入れ、新人を大切に育てようとしている証拠とも言えます。

「最初の職場選び」がキャリアのカギ

このデータから言えることは、「一度辞めてからの再就職(既卒扱い)」の方が、職場に定着するのが難しいということです。 だからこそ、新卒で入る「最初の職場選び」が、長く安心して働くために非常に重要になってくるのです。


2. なぜ1年目で辞めてしまうの?退職理由のトップは「メンタルヘルス」

離職率が下がっているとはいえ、それでも約9%の新人が1年以内に辞めてしまっています。その理由は何でしょうか?看護管理者への調査から、切実な悩みが浮き彫りになりました。

「自信がない」が心の負担に

新卒看護師の退職理由トップ3は以下の通りです。

  1. 健康上の理由(精神的疾患):52.5%
  2. 自分の適性への不安:47.4%
  3. 看護実践能力への不安:41.6%

「仕事が嫌いになった」というよりは、「自分は看護師に向いていないんじゃないか」「先輩のように上手くできない」という自分への自信のなさ(不安)が大きなストレスとなり、結果として心の不調(メンタルヘルス)に繋がってしまっているケースが多いのです。

真面目で責任感が強い人ほど、理想と現実のギャップに悩みやすい傾向があります。

見過ごせない「人間関係」とハラスメント

また、退職理由の4位には「人間関係」が入っています。さらに別の調査では、看護職の約93%が何らかのハラスメントを見聞きしたことがあるというデータもあります。 特に「上司」や「患者さん」からの心ない言葉に傷つくケースが多く、こうした環境が新人の「自信喪失」に拍車をかけている可能性もあります。

就職先を選ぶ際は、教育制度だけでなく「困った時に相談できる先輩がいるか」「ハラスメント対策窓口が機能しているか」を確認することが、自分を守ることに繋がります。


3. 「大病院」vs「小規模病院」あなたに合うのはどっち?

「大きな病院の方が安心?」それとも「小さな病院の方がアットホーム?」 病院の規模によって、離職率や辞める理由には明確な違いがあります。

大規模病院(500床以上):教育は充実しているがプレッシャーも大

大規模病院は、新卒の離職率が8.0%と全体平均より低いのが特徴です。同期が多く、研修制度が整っているため、スキルアップしやすい環境と言えます。

しかし注意点もあります。大規模病院で辞めた新人のうち、71.6%が「精神的な不調」を理由にしています。 高度医療を扱うため責任が重く、最先端の現場についていくプレッシャーが大きいことが要因と考えられます。

小規模病院(199床以下):丁寧な指導だが定着に課題も

一方、小規模病院の新卒離職率は12%台とやや高めです。 教育システムが大病院ほどマニュアル化されていない場合もありますが、その分、一人ひとりの顔が見える距離感で働けるメリットもあります。

  • バリバリ最先端を学びたいか(大病院)
  • 地域に密着してじっくり働きたいか(中小病院)

自分の性格がどちらに合っているか、自己分析をしてみることが大切です。


4. これからの働き方:夜勤、ICT、タスク・シェア

最後に、これから看護師として長く働くためにチェックすべき「働き方の環境」について解説します。

「夜勤」の負担とライフスタイル

看護師の仕事で大きな負担となるのが夜勤です。実は、夜勤をしている看護師の3人に1人が、国の基準である「月72時間」を超えて夜勤をしているというデータがあります。 一方で、育児などを理由に夜勤をしない働き方を選ぶ人も増えています。「短時間正職員」などの制度がある病院はまだ約3割ですが、こうした柔軟な制度を持つ病院は、職員を大切にするホワイトな職場である可能性が高いです。

業務を楽にする「タスク・シフト」と「ICT」

「タスク・シフト/シェア」という言葉を聞いたことはありますか? これは、これまで看護師がやっていた業務の一部を、薬剤師や看護補助者などに任せて、看護師は「患者さんのケア」に集中しようという取り組みです。約7割の病院で導入が進んでいます。

また、電子カルテや見守りセンサーなどのICT(情報通信技術)を活用している病院かどうかも、働きやすさを左右する重要なポイントです。


まとめ:データを知れば、ミスマッチは防げる

今回のデータをまとめると、自分に合った職場選びのポイントが見えてきます。

  • 新卒の離職率は下がっている。 焦らず、最初の職場をしっかり選ぼう。
  • メンタルケアが重要。 「教育制度」だけでなく「相談しやすさ」をチェックしよう。
  • 性格に合わせて規模を選ぶ。 プレッシャーに強いか、アットホームさが欲しいか。
  • 働き方の柔軟性を見る。 ICT活用やタスク・シフトが進んでいる病院は、負担軽減に積極的。

看護師は、人の命に寄り添う素晴らしい仕事です。だからこそ、あなた自身が心身ともに健康でいられる環境を選ぶことが、最高の看護を提供するための第一歩になります。

ぜひ、病院見学やインターンシップでは、設備だけでなく「そこで働く人たちの表情」や「職場の雰囲気」を肌で感じてみてください。


参考元

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